コンテンツにスキップ

最大容量問題

Question

配列 \(ht\) が与えられ、各要素は垂直な仕切り板の高さを表します。配列内の任意の 2 枚の仕切り板と、その間の空間で容器を構成できます。

容器の容量は高さと幅の積(面積)に等しく、高さは短い方の仕切り板で決まり、幅は 2 枚の仕切り板の配列インデックスの差です。

配列から 2 枚の仕切り板を選び、構成される容器の容量が最大となるようにしてください。最大容量を返します。例を以下の図に示します。

最大容量問題のサンプルデータ

容器は任意の 2 枚の仕切り板で囲まれるため、本問の状態は 2 枚の仕切り板のインデックスで表され、\([i, j]\) と記します

問題の条件より、容量は高さと幅の積に等しく、高さは短い板で決まり、幅は 2 枚の仕切り板の配列インデックスの差です。容量を \(cap[i, j]\) とすると、計算式は次のようになります。

\[ cap[i, j] = \min(ht[i], ht[j]) \times (j - i) \]

配列の長さを \(n\) とすると、2 枚の仕切り板の組合せ数(状態総数)は \(C_n^2 = \frac{n(n - 1)}{2}\) 個です。最も直接的には、すべての状態を総当たりできます。これにより最大容量を求められ、時間計算量は \(O(n^2)\) です。

貪欲戦略の決定

この問題にはさらに効率的な解法があります。以下の図のように、状態 \([i, j]\) を 1 つ選び、インデックスが \(i < j\) かつ高さが \(ht[i] < ht[j]\) を満たすとします。つまり、\(i\) が短い板、\(j\) が長い板です。

初期状態

以下の図のように、このとき長い板 \(j\) を短い板 \(i\) に近づけると、容量は必ず小さくなります

これは、長い板 \(j\) を動かした後は幅 \(j-i\) が必ず小さくなるためです。また、高さは短い板で決まるので、高さは変わらない( \(i\) が依然として短い板)か、小さくなる(移動後の \(j\) が短い板になる)ことしかありません。

長い板を内側へ動かした後の状態

逆に考えると、短い板 \(i\) を内側へ縮めた場合にのみ、容量が大きくなる可能性があります。幅は必ず小さくなりますが、**高さは大きくなる可能性がある**からです(移動後の短い板 \(i\) がより長くなる可能性があります)。たとえば次の図では、短い板を動かした後に面積が大きくなっています。

短い板を内側へ動かした後の状態

以上から、本問の貪欲戦略を導けます。2 本のポインタを初期化して容器の両端に置き、各ラウンドで短い板に対応するポインタを内側へ縮め、2 本のポインタが出会うまで続けます。

以下の図は、貪欲戦略の実行過程を示しています。

  1. 初期状態では、ポインタ \(i\)\(j\) は配列の両端にあります。
  2. 現在の状態の容量 \(cap[i, j]\) を計算し、最大容量を更新します。
  3. \(i\) と板 \(j\) の高さを比較し、短い板を内側へ 1 マス移動します。
  4. 2.3. を繰り返し実行し、\(i\)\(j\) が出会ったら終了します。

最大容量問題の貪欲な過程

max_capacity_greedy_step2

max_capacity_greedy_step3

max_capacity_greedy_step4

max_capacity_greedy_step5

max_capacity_greedy_step6

max_capacity_greedy_step7

max_capacity_greedy_step8

max_capacity_greedy_step9

コード実装

コードのループ回数は最大でも \(n\) 回であるため、時間計算量は \(O(n)\) です。

変数 \(i\)\(j\)\(res\) が使う追加領域は定数サイズなので、空間計算量は \(O(1)\) です。

[file]{max_capacity}-[class]{}-[func]{max_capacity}

正しさの証明

貪欲法が総当たりより速いのは、各ラウンドの貪欲な選択がいくつかの状態を「スキップ」するためです。

たとえば状態 \(cap[i, j]\) において、\(i\) が短い板、\(j\) が長い板だとします。貪欲に短い板 \(i\) を内側へ 1 マス動かすと、次の図に示す状態が「スキップ」されます。これは、その後それらの状態の容量を検証できないことを意味します

\[ cap[i, i+1], cap[i, i+2], \dots, cap[i, j-2], cap[i, j-1] \]

短い板の移動によってスキップされる状態

観察すると、これらのスキップされた状態は、実際には長い板 \(j\) を内側へ動かしたすべての状態そのものです。前述のとおり、長い板を内側へ動かすと容量は必ず小さくなります。つまり、スキップされた状態はいずれも最適解にはなりえず、それらを飛ばしても最適解を逃すことはありません

以上の分析から、短い板を動かす操作は「安全」であり、貪欲戦略は有効であると分かります。